
今年最初の稲穂
田植えを終えたばかりのころは、頼りないほど細かった苗。
それが夏の日差しを受け、いつの間にか足元が見えないほど茂っていました。青空の下に広がる田んぼは、まだ一面の濃い緑です。
その中をよく見ると、葉の間から一本の稲穂が顔を出していました。

田んぼ全体の色が大きく変わったわけではありません。遠くから眺めるだけでは、昨日までと同じ景色に見えます。
けれど、この小さな稲穂は、稲が次の段階へ進んだことを知らせる、はっきりとした変化でした。
葉ばかりだった田んぼに、稲穂が現れた
田植えのあと、ぐんぐんと育っていった稲。
写真を撮った日は、葉の緑と夏空の青がまぶしく、田んぼの中には力強い夏の景色が広がっていました。

葉が風に揺れているだけでも、十分に育っているように見えます。
まだ実ってはいません。収穫までも、もうしばらくかかります。
それでも「ここまで育った」という小さな手応えがありました。
「出穂」とは、稲の穂が外に出てくること
稲の穂が、茎のいちばん上にある葉の付け根から外へ出てくることを、**出穂(しゅっすい)**といいます。
穂は最初から外に見えているわけではありません。稲の体の内側で少しずつつくられ、成長したあとに、葉の間から姿を現すそうです。
一本の穂が出てくるのは「出穂」。田んぼ全体のおよそ半分で穂が出た時期は、「出穂期」と呼ばれます。
出てきたばかりの穂では、ほどなく小さな花が咲き、受粉が進みます。
そのあと、私たちが食べる米へと育っていきます。
つまり出穂は、稲が育つ時期から、米を実らせる時期へ移っていく節目でもあります。
まだ青い穂を見守る時間
出穂したばかりの穂は、葉と同じように青く、周囲の緑に紛れてしまいそうです。
よく見なければ気づかないほど静かな変化ですが、これから穂は少しずつ中身を蓄え、重くなっていきます。
やがて穂先が垂れ、田んぼの色も緑から黄色へ変わっていきます。

この時期は、天候の影響も気になるところです。
穂が出て花を咲かせるころは、実りにつながる大切な時期。
強い風や極端な暑さ、長く続く低温などがないか、空模様を見ながら田んぼの様子を確かめます。
茶碗の中では小さな米粒も、田んぼでは夏の光や水、土、風を受けながら、ずいぶん長い時間をかけて育っています。
周りの田んぼにも、それぞれの夏がある
周辺の田んぼを眺めると、同じように緑が広がっていても、稲の背丈や茂り方、穂の出具合には少しずつ違いがあります。
植えた時期や品種、田んぼの条件によって、育ち方はすべて同じではありません。もう穂が見えている場所もあれば、まだ葉だけに見える場所もあります。
車で通り過ぎれば、どれも同じ夏の田園風景に見えますが、近くから見ると、それぞれの田んぼが違う速さで季節を進んでいます。
こうしたわずかな変化に気づけることも、米づくりに関わる面白さです。
稲穂が見えたけど、まだまだ途中
最初の穂を見つけると、少しだけ収穫を意識するようになります。
とはいえ、ここはまだまだゴールではありません。
穂がそろい、中の米が育ち、少しずつ頭を垂れていく時間が残っています。
田植えの日にはずいぶん先に思えた実りが、ようやく形を見せ始めました。
青空の下で見つけた、まだ青く細い一本の稲穂。
大きな出来事ではないけれど、米づくりの季節が確かに先へ進んだことを感じた日でした。
これから田んぼがどんな色に変わっていくのか。
焦らず、次の変化も見届けていこうと思います。
それではまた次回!