「さいとう・たかを原画展 “劇画”で読者を射抜いた70年」
先日、友人からチケットをいただいて、茨城県筑西市のしもだて美術館で開催されていた「さいとう・たかを原画展」に行ってきました。
「”劇画”で読者を射抜いた70年」というキャッチコピーの通り、原画500点・史上初の大展覧会という規模。
ゴルゴ13のデューク東郷が大好きだった自分としては、これは行かないわけにはいきません。
しかも地元茨城での開催、こういう展覧会が茨城で見られるのは、それだけで少し嬉しいものです。
6月で梅雨のしとしと雨の日でしたが、それも含めて良い一日になったので、記録しておきます。

床屋と食堂で読んだゴルゴ13
さいとう・たかを先生の作品との出会いは、正直に言うと本屋ではなかったのです。
近所の床屋と、昼食によく行っていた食堂。そこに置いてあったゴルゴ13を、順番待ちの間や食後にページをめくるのが、密かな楽しみでした。
デューク東郷の圧倒的な強さと、無駄なことを一切しゃべらない渋さ。
子どもながらに「大人のかっこよさって、こういうことか」と魅せられていた記憶があります。
いま思えば、床屋や食堂に当たり前のようにゴルゴが置いてあった、あの空気ごと含めて良い文化だったなと思います。
今回の展覧会は、そんな記憶を掘り起こしに行くような気持ちもありました。
原画500点という物量に、じわじわ圧倒される
会場に着くと、まず入口の看板と等身大のキャラクターパネルがお出迎え。
ガラス張りの建物なので、パネルの向こうに雨の街並みが透けて見えて、劇画のタッチと現実の風景が妙に馴染んでいるのが面白かったです。

展示室に入ると、テーブルと壁一面に、原画がずらりと並んでいました。
展示はもちろんゴルゴ13だけでなく、「007シリーズ」、「うどん団兵衛」、「サイレントワールド」、「サバイバル」、「剣客商売」、「仕掛人 藤枝梅安」、「カメラマン寸前」・・などなど、
70年のキャリアを網羅する構成でした。
原画500点という数字は事前に知っていましたが、実際に会場を歩いてみるととんでもない物量!
アナログ原稿を見て「これを全部、手で描いたのか」という事実が、じわじわと効いてきます。

デジタルの無い時代に、この線を引いていた
一部のエリアを除いて写真撮影が可能だったので、一番印象に残ったカラー原画を撮らせてもらいました。
ライフルを構えるゴルゴの、コミックス表紙の原画です。

いやー渋い!渋すぎます!!
印刷物では何度も見てきたはずの絵なのに、原画で見ると印象がまるで違った。
迷いのない、力強い線。カラーの塗りも美しくて、修正の気配すらほとんど感じられない。
当時はアンドゥもレイヤーも無いはずです。一発で決める手描きの線で、この物量と、このクオリティ。
普段の自分は、デザインの仕事でデジタルツールに頼りきりです。
だからこそ余計に、この凄みが身に沁みました。
感想としては身も蓋もないですが、「とにかく絵がうまい」。
これが一番正直なところです。
紙の上に、描いた人の時間と手の動きが、そのまま残っている感じ。
データでは味わえない情報量でした。
しもだて美術館という場所
しもだて美術館は筑西市の中心部にある、ガラス張りの明るい美術館です。
通路にはまたしてもいかついディーク東郷のパネルがあったのでここでも1枚!
この日は雨で、雲がかかっていますが窓から筑波山も見えます。

– 展覧会:さいとう・たかを原画展 〜”劇画”で読者を射抜いた70年〜
– 会期:2026年4月25日(土)~ 6月28日(日)
– 会場:しもだて美術館(茨城県筑西市)
– 入館料:一般800円/高校生以下無料
派手な展覧会を追いかけて都心まで出なくても、近場の美術館でこういう体験ができる。
地方暮らしも捨てたもんじゃないな、と改めて思った一日でした。
昔の記憶を掘り起こしつつ、手書き仕事の凄みを浴びて帰る。
良いアートディグでした。
それではまた次回!